【日記】SIerから転職してCIerになった26歳

a close up shot of letter dice
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こんばんは。昨日仕事納めを終え、1年を思い返すうちに、残しておいたほうがいいな〜と思ったことがあったので記しておきます。

「CIerなんて言葉は無いぞ」と思ってこのページを開いた方には申し訳ございませんが、ここではクラウドインテグレーターとして扱います。
「お前26歳じゃないじゃん」と思って開いた方は多分知人ですが、厳密には執筆現在27歳の転職当時26歳です。

なお、この記事の執筆者は初めての転職でした。タイトル通り、メーカーに属さない、いわゆる独立系のSIerから、クラウドを再販するタイプのCIerにジョブチェンジしました。
これから書くことは半分以上ポエムですが、1-2割くらいは同年代の方の転職にも役立つかもしれません。

先に断っておきますが、全体的に雑めの文章になっております。お赦しください。

3行まとめ

  • 10ヶ月目の今も、転職してよかったと思っている
  • 前職は改善点が多いと思うが、人はとても良かった
  • 転職迷っている人がいたら背中を押してあげたい

転職の成り行き

私は高専卒です。2018年に社会へ飛び出し、SIerに4年と11ヶ月在籍していました。
転職理由は、生意気にも、
①給料が伸長しない未来が見えた
②会社への不信感・組織の弱さ
③携われるプロジェクト(技術)幅の狭さ
④情報感度
でした。あんまり事細かに書くと怒られが発生するので、ややぼかす部分もあります。

①給料が伸長しない未来が見えた

20代後半に差し掛かったくらいの若造が何を言っているんだ?!?!と言われそうですが、家族を持つ身としては切実な問題です。(今現在は妻+息子4ヶ月、転職当時は子供居ませんでした)

SIerというものは大体が年功序列です。「年齢なんて関係ない」といいつつ、経験や携わった年数はダイレクトに影響するので、やはり年齢は関係あると個人的には思います。
私は、数百人も一括で新卒入社させるタイプのSIerに入り、関西でインフラを幅広く触る部署に配属されました。
新卒が一番最初に待ち受けている試練は「部署ガチャ」です。

なにせ規模は大きいですから、保守はやりたくないと言っても保守の部署になったりするし、アプリケーションチームは嫌だと言ってもコードが書ければそちらに行かされます。
社内転職もまともに機能しているとは思えない会社だったので、かなり人生が左右されます。

そんな中、前述のインフラを幅広く触る部署に配属されました。
配属1週間経たないくらいでクセの強いネットワークおじさんに泣かされましたが、基本的にはいい人ばかりで、今思い返すと部署ガチャは確実に当たりでした
私の仕事に関する価値観や技術への向き合い方を教えてくれた先輩が2人いるのですが、その方々には今も非常に感謝しています。

部署が当たりだったので、新人からずっと評価は良かった方だと思います。
0.5〜5.0までの数値で相対評価して、大体3.5や4.0を頂いていたため、昇進までの速度が非常に早かったです。(標準の人が3.0 あるいは3.0+など)
あっという間に新卒3年生になる頃には、リーダーという小グループをまとめる立場になっていました。
この間、同期の人々は30-40%くらいが脱落(転職)していたと思います。

私の居たSIerはベースアップという概念がなく、3.0の通常評価を得ていれば数千円の昇給でした。まともに給与を増やそうと考えると、やはり昇格しかありません
リーダーというポジションはまともに働いていれば辿り着くポジションです。年齢は20-50代、給与は約25万-50万とかなりの幅がありました。
問題なのはリーダーから次の主査クラスに上がるところで、3.5評価を3回連続で得る必要がありました。至難の業です。
景気が良いときは良い評価が付きやすいですが、悪いときにはとてもじゃないですが無理です。

では、昇格以外にどんな昇給方法があったのかというと、資格です。
若者世代にとって、資格は武器です。取っておけば転職に役に立つかも知れない。私も例に漏れず資格へフルコミットしました。
その結果、AWS認定のSAProSCSを取得して月25,000円の昇給をゲットしました。これは非常にありがたかった。

が、制度設計がややおかしい。AWS認定を取れば取るほど昇給するわけではなく、Pro認定もしくはSpecialtyひとつで25,000円という感じだったので、12冠する人は居ませんでした(当時)。

そんなこんなで、給与は600万程度で打ち止めされるように設計されています。本当によくできている。
私は、部署ガチャ勝利および、資格フルコミットにより給与を伸ばせる限界まで到達しました。
と同時に、「あ、これ以上は無理だ」と悟ったのです。

②会社への不信感・組織の弱さ

部署や関わる人に対して全く不満はなかったのですが、所属する会社に対してはかなりの不満を募らせていました。
列挙すればキリはなく、風通しの悪さ、無くならないパワハラとセクハラ、経歴詐称やサービス残業、謎の悪しき風習、使い勝手の悪い内製システムなど、ここには書けないこともたくさんあります。
特に偉い人がパワハラで「懲罰委員会」によってイントラで吊るされていたときは笑いましたが(笑い事ではない)、数字達成の名の下に至る所で不正があったりなかったり。

上記のことは私に直接悪影響は無かったので見て見ぬふりだったのですが、4年も働くうちに、そもそもSIerとしての収益構造、組織の弱さが見える部分があり、段々と不信感に変わっていきました。
所詮は人売り商売なので、1人約70万〜90万とかで客先に常駐させたりするのですが、組織が大きいため管理や営業部門などの人件費も膨大で、粗利は本当に薄かったりします。
(IRとか見ると同業他社より低い利益率が書いてあるし、株主から突っ込まれるのも分かる)

詳しい数字は退職とともに忘れたので語れません。ただ、案件にアサインされない”待機人員”がいっぱい発生しても、自分の手が空かず「俺は忙しいのに不公平だな…」と思うことはありました。

続いて組織の弱さを感じた部分で、営業の人は営業をしません。…主語がでかすぎたので「営業しない人もいる」くらいにしますが。一緒に提案のミーティングに入っても、挨拶だけしてアイスブレイクもせずに「では、エンジニアさんお願いします」で終わります。1人だけなら個人の問題ですが、多くの営業マンがそんな感じです。
あまりに酷いケースに遭遇すると事務契約マンとまで揶揄されている人がいました。

揶揄される原因は組織から離れてみてはっきり分かります。相手が何しているのか分からない、お互いのことをよく知らないのが主因です。
数少ないちゃんとコミュニケーションを取れる方は揶揄されることなく、この辺がすごく良くできていました(よくある、数人のできる人が全体パフォーマンスのほとんどを出しているタイプ)。コミュニケーションが不足してしまうのは、大きな組織の縦割りの弊害とも言えると思います。
ちなみに私は当時、「営業って楽そうだけどツマラナソウだなー」くらいにしか思ってませんでした。

つらつら書きましたが、人と人の繋がりが弱く、縦に割られた線からはみ出して動こうとする人が本当に少数なので、組織として弱いなと勤めている頃から思っていました。
また、謎の風習(新人にゴミ出しさせたり、昇格直後は評価を下げたりなど)が残っていたり、トップダウン主義(ボトムアップなどない)なところも萎え度が高かった記憶です。

何か大きなトラブルや炎上が発生する度に新しい制度と帳票が増え、管理工数が増え、誰も幸せにならない方向に進みまくっていました。組織全体を通して見れる人が居ないのも痛い。

なお、退職する際に上司や人事から「辞める理由」を聞かれ、バカ正直に↑を全部伝えたら、「作文して上の人に伝える僕の気持ちにもなってくれ」と逆ギレされ呆れました。
風通しというものは存在しない。

※ なお、「自己都合のため、退職理由はありません」と答えるのが正解らしい。一般社会人の皆様は参考にされたし

③携われるプロジェクト(技術)幅の狭さ

「独立系SIerなのだから、触れる製品はいっぱいあるのでは?」と思われるかも知れませんが、独立系といえど仕入れ元が推している商材があれば、やはり若干偏ります。
サーバーのメーカーにしろ、ストレージやネットワーク機器にしろ、取り扱えるものは無数にあっても自分たちの得意とするものを売るので、種類としてはそこまで多くありません。

AWSやAzureの案件に関しては(今はどうか知りませんが)、営業が持っているKPIと関係ない商材は売っても数字にならないという仕組みで、クラウドをやりたいエンジニアが余っていたとしても案件がない事態になることもしばしばあった気がします。

取ってくるクラウドのプロジェクトも難易度が高いものばかりで、大抵は(数字が付く)開発絡みのインフラ案件など。あちらこちらでプロジェクトが炎上していました。

また、業界は製造業がメインで、官公庁や金融系がちらほら。
規模は小〜中くらいで、一定以上の規模は会社認定のPMが付かないと受注すらできないこともあり、大規模案件はほとんど見ませんでした。

好奇心から、大きなプロジェクトを見てみたい、そしてそこでしか拝めない技術に触れたい、と思うこともありましたが、転職しない限りは叶うことがなさそうでした。

④情報感度

新しい技術や脆弱性情報などに積極的に触れたいと考える人が本当に少なくて、SlackやTeamsで呟いても無反応(特定の人だけ👍をくれる)な状況が結構イヤでした。
構ってちゃんなのは分かっています。ただ、#random で1週間くらい私しかいないこともあったり、全員に関係のある脆弱性情報が出た際に意気揚々と共有したらスルーされたり、承認欲求のバケモノとしては辛いものがありました。
まあ、休日や夜間にもポストしてたりしたのでミュートされていただけかもしれませんが

また、感度とは少し関係がないのですが、「首都圏」と「地方」にはナレッジに大きな溝がありました。社内で一貫してナレッジを貯める場所がないためです。
設計書やらパラメーターシートが全員の見れる場所に置かれていればどれほど助かったか。

設計などを共有できない理由を聞いてみたら「上の人同士が仲悪いから」と言われ無数のハテナが浮かびました。小学生なのか?

インプットも少なければアウトプットも少ない、このまま30歳になったとき成長できているのか?と考えた際に恐ろしくなって震えました。

そして転職

ここまでボロクソに書いていますが、1社目として、そして社会経験として得るものは大きかったので、大変感謝しています。前述の通り出会った人は本当にいい人ばかりで、何度も再考しましたが、やはり一番は給与面を見て結論を出すこととなりました。
ポジティブな言い方をするとキャリアアップです。

IT業界は転職で年収を増やす的な考え方が一部であるのですが、本当にそうだと思いました。
生え抜きで上を目指すよりは、空いているポストと自分がマッチしていればどんどん転職して行くほうが収入面は効率的だと思います(要議論)

ちなみに、もう一社、大きなSIerに合格を頂いていたのですが、悩みに悩んだ挙げ句辞退しました。オファー金額が当時年収を下回っていたためです。
入社後の伸びしろはあるという説明でしたが、入社後にしっかり評価されるかどうかは運要素もあるので、一旦最初の提示額に従うこととしました。

before → after

まずは客観的に、転職によって何が変わったのかを記しておきたいと思います。

  • 給与

年収にして70-80万くらい上がりました。嬉しい。
また、前職にはなかった家族手当も貰えるようになったので、手厚さを感じています。
評価制度も整備されており、納得感のある基準が全社に公開されています。

  • 勤務条件

フルフレックス→フルフレックス。ほぼフルリモート勤務(出たい日に出る)。
職場でお酒が飲めるようになりました。
PCは最新Macbook Proが支給されるので不満なしです。

ただし、勤務時間が7.5時間→8.0時間に変更。現職では、みなし残業時間が30時間ほど給与に含まれています。
実質勤務時間は表面上増えていますが、ブログを業務時間に書けるので、なんか色々調整していい感じになっています。

  • 残業時間

前職:20H/月くらい
現職:5H/月くらい

「みなし残業時間があるから限界まで働け」と言われないのが最高。
所定労働時間が0.5H/日増えている分、実質現職は15H/月とも言えますね。

  • 業務内容

前職:提案1・定義1・設計3・構築4・保守1
現職:提案2・定義1・設計2・構築1・Q&A1・タスクフォース1・イベント1・ブログ1

前職と比べて、プリセやその他活動が多くなりました。
配分は自分で決めることができ、各人がそれぞれの裁量で組織にとって必要な動きをします。

転職に関する心情など

続いて主観的な話です。参考までに。

  • 職場の雰囲気

現職は風通しが良すぎて富士山という感じです。富士山は風を遮るものがありません。
偉い人が常にどこを向いているかが全社員に共有され、部門の垣根なく協力して課題が解決されます。

また、少し慣れてしまった自分がいるのですが、社長が何故か従業員の悩みを超カジュアルに聞いてくれます。クールすぎる。入社して1年も経たないのですが、2桁回数はお喋りさせてもらいました。
もちろん社長以外でも、何かあったら誰でもすぐ話せます。文化が心地よい。

  • アウトプット

前職では閉鎖思考でした(というより外に出せない情報が8割以上)が、現在ではプロジェクトで得た情報に関しても公開することでコミュニティ全体に寄与することができます。
このブログに書いてあることは墓まで持っていっても良かったのですが、年末だしスッキリしたいと思い記すことにしました。それほどアウトプットへのスタンスが変わったと思います。

なお、会社ブログに関しては業務時間に書くこともできるし、業務時間外に書くこともできます。このどちらも重要だと思っていて、気軽にアウトプットできる環境が整っています。

また、LTなどに登壇する機会も増えました。自分で手を挙げるのはもちろん、声を掛けて貰えることもあり、前職時代からは考えられない進歩だと思います。

  • 一緒に働くエンジニアさん

信頼できる先輩方をすぐ見つけることができ、一緒にチームを組んで動いています。
趣味も人それぞれですが、社内全員が入るSlackに趣味チャンネルが無限にあり、気の合う方はすぐに見つけられるようになっています。
技術への感度・技術力が本当に高く、自分がどれだけ井の中の蛙だったのかを思い知りました。

技術力があるからと気取るような人はおらず、互いにリスペクトし合う関係構築ができています。

  • 一緒に働く営業さん

「えっ、営業さんがそこまでしてくれるの・・・?!」 現職に来て1ヶ月の頃、そう強く思った記憶があります。営業さんですら資格を有されており、技術説明もほぼ営業サイドで展開してくれます。エンジニアはニコニコしながらうんうん頷くのがメイン業務になってたりします。

極端な2社比較となり何が普通なのか分かりませんが、現職営業さんは優秀なお方が勢揃いしており、頭が上がらない思いです。

  • ビジネス内容

メインは人月商売からストックビジネスに変わりました。
ストックビジネスというとカッコよく聞こえるのですが、要は各クラウドの再販です。
非常に安定しており、すぐに崩れることはないと思っています。

このストックをどれだけ伸ばせるか、減らさないかに心血を注いでいます。

前職に無かった感情として、「この会社に貢献したい」と思うようになりました。
(会社員としては普通かもしれませんが、、、)
多分、偉い人が道しるべを置いて常に共有してくれているおかげかと思います。会社の方針→個人のミッションへの落とし込みがすごく捗ります。

  • その他

「高ストレス者」として産業医と面談しなくて良くなりました。
また、会社のお金でre:Invent in Las Vegasへ行かせていただいた点も大きく変わったポイントです。

転職を考えている方へ

人生は一度きりですが、会社選びは一度きりではありません。

この日記にはネガティブな要素が含まれていますが、転職はポジティブな理由に起因したほうが成功します。「もっと〇〇したい」などが最たる例です。
不満がない状態で転職を考える人はいないはずで、その不満はどうすれば解消できるかに思考を持っていくとハッピーです。

さいごに

乱文で失礼いたしました。
前職に関する記述は不正確なものを含むかもしれませんので、そこは宜しくお願いします。

人生初の転職でしたが、結果的に大成功を収めて良かったな〜〜と思います。
前職に留まっていたらいたで、いい未来もあったかもしれませんが。

何はともあれ、現職に誘ってくださった方がいるので一生感謝していきたいと思います。
そして、転職を迷っている人がいれば背中を押してあげたい、そんな気持ちです。

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